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『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女(Lee Cronin's The Mummy)』― 喪われた8年が呼び覚ます、家族を蝕む古代の呪い

 

「マミー」と聞くと、多くの人は古代エジプトのミイラが蘇るアドベンチャーやアクション作品を思い浮かべるかもしれません。しかし、本作『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』は、そのイメージを大きく覆す作品です。

本作は、古代エジプトに眠る呪われた悪魔と、一人の少女の失踪事件を軸に展開するオカルト・ホラー。失踪から8年後に帰ってきた少女を巡る謎と、家族を蝕んでいく恐怖を描きながら、単なるショック演出だけではなく、家族愛や犠牲の物語としても見応えがあります。

スプラッター描写はかなり強めですが、その裏側には悲しい親子の物語が隠されています。

 

あらすじ(ネタバレなし)

エジプト・アスワンのある村で、一つの家族が地下に眠る黒いピラミッドと謎の石棺に遭遇します。その瞬間から、家族には恐ろしい悲劇が訪れます。

それから数年後、カイロで暮らすテレビ記者チャーリー・キャノンは、妻ラリッサ、息子セバスチャン、娘ケイティと幸せな生活を送っていました。しかしある日、娘ケイティが突然何者かに誘拐され、必死の捜索もむなしく消息を絶ってしまいます。

8年後、家族はアメリカ・ニューメキシコ州へ移り住み、失った娘への悲しみを抱えながら生活していました。そんなある日、エジプトで墜落した輸送機の中から、行方不明だったケイティが奇跡的に発見されます。

しかし帰ってきた彼女は、8年前の少女のまま時間が止まったような姿で、体中を古代文字が刻まれた布に包まれ、言葉も発することができませんでした。

家族は再会を喜びますが、ケイティの周囲では次々と不可解な出来事が起こり始めます。

やがてチャーリーは、娘の身に宿る古代エジプトの悪魔と、8年間隠され続けてきた恐るべき秘密へと近づいていくのでした。

 

感想

※ここからは作品の核心に触れる内容を含みます。

この映画を観ようと思った直接のきっかけは、主演のジャック・レイナーが出演していたことでした。

実際に観てみると、想像していた以上にスプラッター描写が多く、皮膚を剥がしたり自傷行為を繰り返したりと、かなり痛々しいシーンが続きます。そのため、ゴア表現が苦手な方にはあまりおすすめできません。一方で、この手のホラーに耐性がある方であれば、映像表現の迫力も含めて十分楽しめる作品だと思います。

本作は単なる悪魔憑きのホラーではなく、「失踪した娘を取り戻した家族」が主人公という設定が特徴的です。娘が戻ってきた喜びよりも、「何が起きたのか分からない」という不安が徐々に恐怖へ変わっていく流れは、非常に丁寧に描かれていました。

一方で、古代の悪魔ナスマラニアンやカルト教団、儀式、古代文字など、物語の設定はかなり複雑です。劇中では英語以外の言語が使われる場面も多く、悪魔崇拝や儀式についての説明も断片的なので、一度観ただけでは理解しきれない部分もありました。

私自身も鑑賞後にいくつかサイトなどで設定を補完しながら理解したため、その点は少し惜しかったところです。

とはいえ、娘の誘拐事件が単なる失踪事件ではなく、何千年も続くカルト教団と古代の悪魔に結び付いていたという展開には引き込まれました。失踪事件を追うサスペンスとオカルトホラーが融合している点は、本作ならではの魅力だと思います。

また、物語の根底にあるのは「家族を守るためなら何を犠牲にできるか」というテーマです。

終盤、チャーリーは悪魔を自らの身体へ移し替え、自分が犠牲になることを選びます。この決断によってケイティはようやく悪魔から解放され、兄妹たちとも本当の意味で家族として新しい一歩を踏み出せるようになります。

そして地下室の棺の中でモールス信号を使い、「"I love you."(愛している)」と家族へ伝えるラストは、本作最大の見せ場だったのではないでしょうか。

ホラー映画でありながら、最後に残る印象は恐怖よりも父親の愛情でした。

また個人的には、ジャック・レイナーは『ミッドサマー』でも非常に過酷な運命を辿る役でしたが、本作でも最後は家族のために命を懸ける役どころでした。「また最後に犠牲になる役なのか」と少し苦笑してしまいましたが、それでも彼だからこそ父親としての苦悩や優しさが自然に伝わってきました。

ただ、個人的にはもう少し「謎解き」の要素が強い作品だと想像していました。古代文字や儀式の秘密を少しずつ解き明かしていくミステリー寄りの展開を期待していたため、その部分は少し物足りなさも感じました。

それでも、若手キャストからベテラン勢まで安定した演技を見せており、映像の完成度も高く、近年のオカルトホラーとして十分楽しめる一本だったと思います。

何より、ケイティが最終的に救われたことに心から安堵しました。

 

 

演技

ジャック・レイナー(チャーリー)

本作の中心となる父親役。娘を取り戻した喜びと恐怖、そして家族を守る決断までを非常に説得力のある演技で見せています。派手な演技ではありませんが、父親としての葛藤を静かに積み重ねていく表現が印象的でした。

ライア・コスタ(ラリッサ)

家族を支える母親として、悲しみと希望の間で揺れ動く感情を丁寧に表現しています。夫婦の絆を感じさせる演技も作品に深みを与えていました。

メイ・キャラマウィ(ダリア・ザキ)

事件を追う刑事として、物語後半では重要な役割を担います。冷静な捜査官でありながら、人間味も感じられる演技で、ホラー作品の中でも存在感を放っていました。

 

この映画がおすすめな人

  • オカルトホラーや悪魔憑き作品が好きな方
  • スプラッター描写にも耐性がある方
  • 家族愛を描いたホラー作品を観たい方
  • エジプト神話や古代文明を題材にした作品が好きな方
  • ジャック・レイナー出演作を追っている方

評価

※評価は執筆時点のものです。

  • Filmarks:★★★☆☆ 3.8 / 5.0
  • IMDb:★★★★☆☆☆☆☆☆ 6.2 / 10

視聴情報(サブスクリプション)

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