Cinematelier ─ 映画のアトリエ

名作からコア作品まで、余韻を大切に綴る映画ノート

『ミーン・ガールズ(Mean Girls)』― “イジワル”の連鎖を断ち切るために

 

2004年に公開され、ティーン映画の金字塔とも呼ばれる『ミーン・ガールズ』。本作はその名作をベースにしたブロードウェイ・ミュージカル版をさらに映画化した2024年版です。

脚本はオリジナル版と同じくティナ・フェイが担当。現代のSNS時代に合わせてアップデートされながらも、女子高校生たちの友情や嫉妬、承認欲求といった普遍的なテーマはそのまま受け継がれています。

ミュージカル映画として生まれ変わった本作は、オリジナルへのリスペクトと現代的な感覚を両立させた作品となっています。

 

あらすじ(ネタバレなし)

ケニアでホームスクーリングを受けながら育った16歳の少女ケイディ・ヘロンは、母親とともにアメリカへ戻り、公立高校へ通うことになります。

慣れない学校生活のなかで、ケイディは個性的なジャニスとダミアンと友人になります。二人から学校内のさまざまなグループ事情を教わる中で、絶対的な人気を誇る女子グループ「プラスチックス」に目をつけられます。

グループの中心には、美しくカリスマ性に満ちたレジーナ・ジョージがいました。

ジャニスは、かつて自分を傷つけたレジーナへの復讐のため、ケイディにプラスチックスへの潜入を依頼します。しかし、レジーナたちと行動を共にするうちに、ケイディ自身も人気者としての立場や周囲からの評価に魅了されていきます。

やがて友情と恋愛、そして承認欲求が複雑に絡み合い、学校全体を巻き込む大騒動へと発展していくのでした。

 

感想

※ここからは作品の核心に触れる内容を含みます。

本作は2004年版『ミーン・ガールズ』のリメイクであり、さらにミュージカル映画として再構築された作品です。

そのため、多くの観客がどうしても前作と比較してしまうことになり、評価が伸び悩んだ部分もあったのではないかと思います。

実際、レジーナ・ジョージを演じたレネー・ラップは素晴らしいパフォーマンスを見せていますが、前作でレイチェル・マクアダムスが作り上げた圧倒的なレジーナ像はあまりにも強烈でした。どうしても比較されてしまうのは避けられなかったでしょう。

また主人公ケイディについても、前作の方が「純朴な少女が権力に飲み込まれていく恐ろしさ」がより強く描かれていた印象があります。本作は少しマイルドになっており、全体的にキャラクターたちの毒気も抑えられていました。

しかし、その一方で現代向けのアップデートはしっかり成功しています。

2004年当時と比べると、現在はSNSによって噂や悪口が一瞬で拡散される時代です。本作ではそうした現代の空気感が自然に取り入れられており、「人気者になること」や「他人からどう見られるか」というテーマがより身近なものとして描かれていました。

特に印象的だったのは、ケイディがレジーナを追い落とした後、自分自身が新たな“女王蜂”になってしまう展開です。

最初は被害者だったはずのケイディが、気づけば同じように他人を利用し、見下し、傷つける側になってしまう。

これは本作が描こうとしている重要なテーマでしょう。

問題なのは特定の悪役ではなく、人は誰でも権力や人気を手にすると変わってしまう可能性があるということです。

レジーナを倒しても何も解決しなかったのは、その象徴だと思います。

そして終盤、春の女王に選ばれたケイディが王冠を砕いて皆に配るシーンは、前作同様に本作のメッセージを端的に表しています。

誰か一人だけが特別なのではなく、誰もがそれぞれ価値を持っている。

スクールカーストや人気競争に振り回されていた少女たちが、その事実に気づく瞬間はやはり胸を打たれました。

また、ミュージカル映画としての魅力も見逃せません。

楽曲はポップでキャッチーなものが多く、レジーナの存在感を強調するナンバーや、ケイディの心情を表現する楽曲など、それぞれのキャラクターの感情を分かりやすく伝えていました。

前作とは異なる魅力を持った作品として楽しむのが、本作を最も楽しめる見方かもしれません。

さらにオリジナル版で主人公ケイディを演じたリンジー・ローハンのカメオ出演も嬉しいサプライズでした。長年のファンにとっては思わず笑顔になる演出だったと思います。

今の時代の『ミーン・ガールズ』を観てみたい方には十分おすすめできる一本です。

 

演技

アンガーリー・ライス(ケイディ・ヘロン)

素朴な転校生から学校の頂点へと上り詰めていく過程を自然に演じていました。特に善意と欲望の間で揺れ動く表情が印象的です。

レネー・ラップ(レジーナ・ジョージ)

圧巻の歌唱力とスター性を発揮しています。前作との比較は避けられませんが、ミュージカル版ならではの新しいレジーナ像を作り上げていました。

アウリイ・クラヴァーリョ(ジャニス)

怒りや傷つきやすさ、そして友情への複雑な感情を丁寧に表現していました。物語の感情面を支える重要な存在です。

ティナ・フェイ

脚本だけでなくノーバリー先生役としても続投。シリーズの精神的支柱として作品をしっかり支えています。

リンジー・ローハン

登場シーンは短いながらも存在感抜群。オリジナル版ファンには嬉しいご褒美のような出演でした。

 

この映画がおすすめなひと

  • オリジナル版『ミーン・ガールズ』が好きな方
  • ティーン映画が好きな方
  • ミュージカル映画が好きな方
  • 『ブックスマート』や『ラブ、サイモン』のような青春映画が好きな方
  • 学校内の人間関係やスクールカーストを描いた作品が好きな方
  • ポップで明るい作品を楽しみたい方

評価

※評価は執筆時点のものです。

  • Filmarks:★☆ 3.5 / 5.0
  • IMDb:★☆ 5.5 / 10

視聴情報(サブスクリプション)

※配信状況は変わる場合があります。
※この記事にはAmazonアソシエイトのリンクが含まれています。

  • Netflix
  • U-NEXT(レンタル)
  • Amazon Prime Video(レンタル)