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名作からコア作品まで、余韻を大切に綴る映画ノート

『メリー・ポピンズ リターンズ(Mary Poppins Returns)』- 失くしたものの先にある希望

 

1964年公開の名作『メリー・ポピンズ』から54年の時を経て制作された続編『メリー・ポピンズ リターンズ』。

舞台は前作から25年後のロンドン。子どもだったマイケルとジェーンは大人になり、それぞれ人生の困難と向き合っています。そんな彼らの前に再び現れるのが、不思議な魔法使いのナニー、メリー・ポピンズ。

ディズニーらしい色彩豊かな映像、心躍るミュージカルナンバー、そして家族の再生を描く温かな物語が詰まった作品です。懐かしさと新しさが共存する本作は、かつて『メリー・ポピンズ』を愛した人はもちろん、初めて触れる世代でも十分に楽しめる一本となっています。

 

あらすじ(ネタバレなし)

世界恐慌の影響が色濃く残るロンドン。

幼い頃にメリー・ポピンズと出会ったマイケル・バンクスは大人となり、亡き妻との間に生まれた3人の子どもたちを育てながら懸命に生活していました。しかし、妻を失った悲しみと経済的な苦境によって、かつての明るさを失ってしまいます。

一方、姉のジェーンは労働者支援活動に力を注ぎながら、弟一家を支えていました。

そんなある日、風に乗って再び現れたのがメリー・ポピンズ。彼女は子どもたちを不思議な冒険へと連れ出しながら、バンクス家が忘れかけていた大切なものを思い出させていきます。

果たして一家は困難を乗り越え、再び笑顔を取り戻すことができるのでしょうか。

 

感想・考察

※ここからは作品の核心に触れる内容を含みます。

私はこの現代版の『メリー・ポピンズ』を観るまで、実はオリジナル作品を観たことがありませんでした。

そのため比較する先入観がなく、本作単体の作品として鑑賞できたことも大きかったと思いますが、結果としてとても楽しめました。

まず印象的だったのは、子ども向け作品でありながら大人が観ても十分に満足できることです。

エミリー・ブラント、ベン・ウィショー、コリン・ファース、リン=マニュエル・ミランダ、メリル・ストリープと、とにかく豪華なキャストが揃っています。そして誰もが単なるファンタジー作品としてではなく、喪失や再生というテーマをしっかり演じています。

本作の中心にあるのは「失ったものとの向き合い方」です。

マイケルは妻を亡くし、子どもたちもまた母親を失っています。家族全員が悲しみを抱えながらも、その悲しみをうまく言葉にできません。

そんな彼らに対して、メリー・ポピンズは直接問題を解決してくれるわけではありません。

魔法を使えば借金問題も簡単に解決できそうですが、彼女は決してそうしません。

子どもたちを冒険へ連れ出し、自分で考えさせ、自分で答えを見つけるよう導いていきます。

この姿勢が非常に印象的でした。

ただ助けるのではなく、「自分で立ち上がれるようにする」。

それがメリー・ポピンズという存在の本質なのだと思います。

また、本作はアニメーションと実写を融合させた場面も魅力です。

陶器の絵の中へ入り込むシーンは古き良きディズニー映画へのオマージュに満ちており、どこか懐かしい気持ちにさせてくれます。

子どもの頃には何気ない思い出だったものが、大人になった彼らを救う。

それは本作全体が描いている「忘れていた大切なものを思い出す」というテーマそのものだったように感じます。

コリン・ファース演じるウィルキンズも見事でした。

登場した瞬間から「この人物は重要だ」とわかる独特の存在感があります。

上品さと冷酷さを同時に持ち合わせたヴィラン像は、さすがコリン・ファースと言いたくなる説得力でした。

そして何より、本作は新しい作品でありながら不思議と懐かしいのです。

耳に残るメロディー、クラシカルなロンドンの街並み、優雅なミュージカル演出。

現代のCG技術を使いながらも、どこか昔の映画を観ているような温かさがあります。

新しいのに懐かしい。

そんな不思議な魅力を持った作品でした。

 

演技

エミリー・ブラント(メリー・ポピンズ)

新たなメリー・ポピンズとして完璧なキャスティングだったと思います。

気品とユーモア、厳しさと優しさを同時に表現できる数少ない俳優です。決してジュリー・アンドリュースの模倣ではなく、自分だけのメリー・ポピンズ像を見事に作り上げていました。

リン=マニュエル・ミランダ(ジャック)

陽気で親しみやすく、物語全体を明るくする存在でした。歌とダンスのパフォーマンスもさすがの一言です。

ベン・ウィショー(マイケル・バンクス)

喪失感と父親としての責任の間で揺れる姿を繊細に演じています。派手ではありませんが、本作の感情的な核を担う重要な演技でした。

エミリー・モーティマー(ジェーン・バンクス)

家族を支え続ける姉として温かな存在感を見せています。

コリン・ファース(ウィルキンズ)

ディズニー作品のヴィランとして申し分ない存在感でした。上品さの奥にある冷酷さを見事に表現しています。

 

この映画がおすすめなひと

・家族愛を描いた映画が好きな方
・ミュージカル映画が好きな方
・ディズニー作品が好きな方

・心が温かくなる作品を探している方
・親子で楽しめる映画を観たい方

 

評価

※評価は執筆時点のものです。

・Filmarks:★☆3.7 / 5.0
・IMDb:★☆6.6 / 10

 

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